夏の暑さがやわらぐ秋は、犬にとって過ごしやすい季節です。散歩も運動も気持ちよくでき、夏に落ちていた食欲も戻ってきます。いっぽうで、秋ならではの注意点もあります。夏毛から冬毛への換毛(かんもう)、食べる量が増えることでの体重管理、落ち葉やどんぐりの拾い食い、朝晩の寒暖差、そして台風です。
この記事では、犬の秋のケアを、獣医や公的機関の情報をもとに整理します。換毛とブラシの選び方、食欲の秋の体重管理、拾い食い・誤食、寒暖差と運動、秋も続くノミ・ダニ、台風への備えまでを、順に見ていきます。なお、体調や中毒の見きわめは動物病院の役割です。気になるようすがあれば、早めにかかりつけへ相談してください。
秋のケアは、むずかしい知識よりも、季節の変わり目に合わせた毎日の心がけの積み重ねです。涼しくなったいまのうちに要点を押さえておくと、冬を元気に迎えられます。都市やマンションで暮らす犬も、散歩道に落ち葉やどんぐりが増えるこの季節は、足もとへの目配りが要ります。室内では抜け毛が増え、朝晩は冷え込みます。秋の変化に合わせて、暮らしを少しずつ整えていきます。
街路樹が色づき、公園に落ち葉が積もる秋は、犬と歩くのが心地よい季節です。けれど、足もとの落ち葉の下や、朝晩の空気、抜け毛の量など、夏とはちがう変化が静かに進みます。一つひとつはささいでも、知っておくと先回りができます。この記事を、秋のはじめに一度通して読み、季節に合わせた手入れと備えの地図として使ってください。気になるところだけ拾い読みしても役に立つよう、章を分けています。
秋の換毛 ― 抜け毛とブラシの選び方
秋は、犬の毛が大きく生え替わる季節です。夏のあいだの軽い毛を落とし、冬に向けて厚い断熱の毛へ替わっていきます。とくにダブルコート(上毛と下毛の二層)の犬は、晩秋に下毛がごっそり抜けます。抜け毛をためないこまめな手入れが、皮膚の健康にもつながります。
秋の抜け毛はなぜ増えるのか
季節で毛が生え替わる犬の換毛は、春と秋がいちばん多くなります。春は冬毛を落として涼しくすごすため、秋は夏毛を落として冬の寒さにそなえるためです。ハスキーやシェパード、レトリーバーのようなダブルコートの犬は、年に二度、下毛が大量に抜けます。抜けた毛をそのままにすると、被毛の中に湿気や熱がこもり、もつれや皮膚のトラブルのもとになります。秋の換毛期は、ブラッシングの回数を増やすのがコツです。
ブラシの種類と選び方
ブラシは、犬の毛質に合わせて選ぶと、手入れが楽になります。代表的なものを挙げます。
- スリッカーブラシ:細かいワイヤーのピンで、中〜長毛やカーリー・ワイヤーの毛のもつれと抜け毛を取る(ダブルコートにも・力を入れすぎない)。
- ピンブラシ:長毛の仕上げや、毛並みを整えるのに使う。
- 獣毛(ブリッスル)ブラシ:短毛やシルキーな毛の抜け毛・フケを取り、ツヤを出す。
- アンダーコートレーキ(抜け毛取り):ダブルコートの下毛を大量に取る。換毛期に役立つ(ピンの長さは毛の長さに合わせる)。
- ラバー(ゴム)ブラシ:短毛のマッサージと、抜け毛を浮かせる(シャンプー時にも)。
- コーム:もつれやマット(毛玉)を見つけて取る。
毛質ごとの目安としては、トイプードルのようなカーリー・長毛の犬はスリッカーブラシとコーム、ダブルコートの犬はアンダーコートレーキ、短毛の犬はラバーブラシや獣毛ブラシ、と組み合わせます。どのブラシも、力を入れすぎず、皮膚を傷つけないように使います。換毛期は週に数回から毎日、ふだんは数日に一度を目安にします。ブラッシングは、皮膚の赤みやできもの、ノミの有無を見つける機会にもなります。
抜け毛が一度に大量に出る犬は、換毛期に入浴をはさむと、毛が抜けやすくなります。入浴のあとはしっかり乾かします。生乾きのままにすると、皮膚のトラブルのもとになります。皮膚に赤み・におい・かゆみが続くときは、手入れだけで判断せず、動物病院に相談します。
換毛期は、家のなかにも毛が増えます。こまめに掃除機をかけ、犬のベッドや布製品を洗うと、毛やフケがたまりにくくなります。家族にアレルギーのある人がいる家では、とくに役立ちます。ブラッシングのときは、毛をとかすだけでなく、皮膚そのものも見ます。赤み、フケ、できもの、かさぶた、左右でちがう抜け方、しきりにかく・なめる場所がないかを確かめます。秋は空気が乾きはじめ、皮膚がかさつく犬もいます。気になる変化が続くときは、様子を見すぎず、動物病院に相談します。
秋の抜け毛が多いからといって、毛を短く刈り込むのはすすめられません。これから生えてくる冬毛は、寒さから体を守る大切な断熱の役目があります。刈るのではなく、抜けた毛をブラッシングで取りのぞくのが基本です。毛のもつれがひどいときや、医療上の必要があるときだけ、トリマーや動物病院に相談して整えます。日ごろから少しずつとかしておくと、もつれが大きくなる前にほどけます。
換毛の出方は、犬の種類や毛質によってちがいます。ダブルコートの犬は季節ごとに大量に抜け、シングルコートの犬は一年を通じて少しずつ抜けます。トイプードルのように抜け毛が少ない犬種でも、毛は伸び続けるため、定期的なブラッシングとトリミングで、もつれや皮膚のむれをふせぎます。自分の犬がどのタイプかを知っておくと、手入れの回数や道具を選びやすくなります。はじめてのブラッシングをいやがる犬には、短い時間から、おやつとあわせて慣らしていきます。
秋は、シャンプーのしすぎにも気をつけます。洗いすぎると、皮膚を守る皮脂まで落とし、乾燥やかゆみのもとになります。シャンプーの間隔や使う製品は、犬の皮膚の状態に合わせて選び、迷うときは動物病院やトリマーに相談します。洗ったあとは、毛の根もとまでしっかり乾かします。空気が乾きはじめる季節は、室内の湿度にも目を向けると、皮膚と被毛の調子をたもちやすくなります。
「食欲の秋」と体重管理
夏に落ちていた食欲は、涼しくなる秋に戻ってきます。食べる量が増え、運動も増やしやすい季節です。だからこそ、太らせない管理が大切になります。肥満は、犬の体にさまざまな負担をかけます。
太っていないかを見るものさし
体重の数字だけでなく、体つきで見るのが「ボディコンディションスコア」です。獣医は1から9の段階で評価し、4〜5が理想とされます。家庭でも見分けられます。理想の体型は、肋骨を手でさわると感じられるが見た目には目立たない、横から見ておなかが引き締まっている、上から見て腰にくびれがある、という状態です。肋骨が触れにくい、くびれがない、というときは、太りぎみのサインです。月に一度、体をさわって体型を確かめるしゅうかんをつけておくと、変化に早く気づけます。
肥満が体にかける負担
肥満でいちばん心配なのが、関節への負担です。余分な体重が骨・関節・筋肉にのしかかり、関節炎を悪くします。手術などで麻酔が必要になったときの負担も大きくなります。体重を減らすときは、食事のカロリーを見直し、運動と組み合わせます。急にではなく、少しずつ減らすのが安全です。具体的な食事の量や減量の進め方は、犬の状態を見て動物病院で立てます。秋に増えた食欲のままおやつを与えすぎないよう、一日にあげる量を家族で決めておくと、太りすぎを防げます。おやつをあげるなら、その分ごはんを少し減らす、という考え方も役立ちます。
体重を保つには、食べる量と動く量のバランスが鍵です。秋は運動を増やしやすいので、散歩や遊びの時間を少しのばすのも一つの手です。ただし、運動を増やしたからといって、食事やおやつを大きく増やすと、かえって太ります。フードの袋に書かれた量はあくまで目安で、その犬の活動量や年れいによって、ちょうどよい量は変わります。迷うときは、動物病院で適量を相談します。
秋は、さつまいもやかぼちゃなど、人の食べ物をほしがる場面も増えます。玉ねぎ・ねぎ・ぶどう・レーズン・チョコレートなど、犬に有害な食べ物は与えません。与えてよいものでも、味つけのないものを少量にとどめ、一日のおやつは、その日のごはん全体の中で考えます。家族のだれかがこっそり与えていると、知らないうちに食べ過ぎることもあるため、あげる人とあげる量を決めておくと安心です。体重は、月に一度など日を決めてはかると、ゆるやかな増減に気づけます。
体重の管理は、減らすことだけが目的ではありません。年をとった犬や、もともとやせ型の犬では、急にやせていないかにも気を配ります。食欲があるのに体重が減る、逆に食事は変えていないのに増える、というときは、体の不調が隠れていることもあります。気になる変化は動物病院で相談します。涼しくなると、夏より水を飲む量がへる犬もいるため、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきます。
運動を増やすときは、散歩の距離をのばすだけでなく、内容に変化をつけると、犬も飽きずに楽しめます。坂道をゆっくり歩く、草地や土の上を歩く、においをかぐ時間を多めにとる、ボールやひっぱりっこの遊びをはさむ、といった工夫です。ただし、関節に不安のある犬や、太りぎみの犬は、急に負荷をかけず、平らな道のゆっくりした散歩から始めます。運動のあとは、息づかいや足どりに、いつもとちがうところがないかを見て、疲れすぎていないかを確かめます。
秋の拾い食い・誤食(落ち葉・どんぐり・ぎんなん・きのこ)
秋の散歩道は、落ち葉やどんぐり、ぎんなんが増えます。「犬が落ち葉を食べる」「拾い食いをする」という相談も、この季節に多くなります。落ち葉そのものより、落ち葉に混じる・下にある危ないものに気をつけます。
「犬が落ち葉を食べる」とき
犬が落ち葉や草を口にするのは、めずらしいことではありません。葉や草そのものは、多くの場合、大きな害にはなりません。ただし、大量に食べると、消化器の不調や、おなかの詰まり(とくに子犬)を起こすことがあります。くりかえし食べ続けるときは、異食(いしょく=食べ物でないものを口にする)という状態のこともあり、退屈やおなかの不調、栄養のかたよりが背景にあることもあります。気になるときは動物病院に相談します。
落ち葉の下にひそむ危ないもの
本当に注意したいのは、落ち葉に混じる、または下にある危ないものです。
- どんぐり:オークの実で、タンニンという成分が犬に有害です。重い消化器症状や腎臓への影響、小型犬では喉や腸の詰まりを起こすことがあります。落ちて湿ったどんぐりにはカビが生え、神経の症状につながることもあります。
- ぎんなん(銀杏の種):生の種は有毒とされます。拾い食いさせないようにします。
- 野生のきのこ:種類の見分けは専門家でもむずかしく、一部は命に関わる猛毒です。犬が口にしたら緊急で動物病院へ。
- その他:除草剤や農薬のついた草、傷んだ木の実なども口に入れないようにします。
どんぐりやきのこを食べたうたがいがあるときは、時間をおかず動物病院に連絡します。症状は数時間で出ることがあります。ふだんの対策は、拾えない環境づくりです。落ち葉やどんぐりの多い場所では、リードを短く持ち、地面に顔を近づけたら名前を呼んで気をそらします。口に入れる前に「ちょうだい」でおやつと交換する練習も役立ちます。教え方は動物行動学にもとづく犬のしつけ入門も参考になります。子犬のころから拾い食いをさせない関わりは、子犬の社会化の記事もどうぞ。
万一、どんぐりやきのこ、ぎんなんなどを口にしてしまったときは、何を・どれくらい・いつ食べたかを、できる範囲でメモして動物病院に伝えます。可能なら、食べたものの一部や写真があると、診察の助けになります。家庭でむやみに吐かせようとせず、まず動物病院に連絡して指示をあおぎます。下痢・嘔吐・よだれ・ふらつき・けいれん・元気のなさといったようすが出たら、急いで受診します。様子を見ようと迷っているあいだに悪くなることもあるため、迷ったら連絡だけでも先に入れておくと安心です。
拾い食いそのものをへらすには、散歩のコース取りも役立ちます。落ち葉やどんぐりが大量に積もる場所、ぎんなんの落ちる銀杏並木、きのこの生える湿った林のそばは、その季節だけ避けるのも一つの手です。やむをえず通るときは、リードを短く持ち、犬の鼻先と地面のあいだに気を配ります。家のなかでも、拾い食いのくせがある犬には、床にものを置かない、ごみ箱にふたをする、といった工夫が、誤食をふせぎます。
そもそも犬が拾い食いをするのには、いくつか理由があります。地面のにおいに引かれる、おなかがすいている、退屈している、不安をまぎらわせている、といった背景です。叱って口から無理に取り上げると、犬は次から急いで飲み込もうとすることがあります。叱るより、口に入れる前に気をそらす、別のものと交換する、という関わりのほうが、長い目で見て拾い食いをへらします。散歩の前に軽く食事をすませておく、歩きながらにおいを楽しむ時間をつくる、といった工夫も、拾い食いの衝動をやわらげます。
誤食の危険は、外だけではありません。秋から年末にかけては、イベントでお菓子やぶどう、チョコレートが家に増えます。チョコレートやぶどう・レーズン、玉ねぎ類は犬に有害なので、テーブルや床に置いたままにしないようにします。お菓子の包み紙や、串、ぎんなんを焼いたあとの殻なども、犬が口にすると危険です。人の食べ物やごみは、犬の届かない場所にしまい、家族みんなで「落とさない・置きっぱなしにしない」を心がけます。
過ごしやすい季節の運動と、寒暖差・体調
涼しくなる秋は、夏に控えていた運動を増やす好機です。いっぽうで、朝晩の冷え込みや、日ごとの寒暖差は、犬の体調や関節に影響します。運動を楽しみつつ、季節の変わり目の体調にも気を配ります。
運動を増やすなら少しずつ
夏は暑さで散歩や運動を控えていた犬も、秋は体を動かしやすくなります。ただし、急に長い距離や激しい運動を始めると、体に負担がかかります。距離や時間は、少しずつ増やしていきます。水を持って出かけ、犬のようすを見ながら歩きます。日が短くなる季節のため、暗い時間の散歩では、明るい色のリードや光るグッズで見えやすくしておくと安全です。落ち葉で足もとがすべりやすい場所や、増えた人出にも気を配ります。
秋のはじめは、日中にまだ夏の暑さが残ることもあります。残暑の日は、夏と同じように、日中の暑い時間の散歩や、路面の熱さに気をつけます。涼しい日と暑い日が入りまじる時期は、その日の気温に合わせて、散歩の時間や長さを変えると、体への負担をへらせます。朝は冷えても昼は暑い、という日もあるため、出かける前に、その日の気温を確かめるしゅうかんが役立ちます。気温の変化がはげしい日は、無理に外で長く歩かせず、室内ですごす時間を長めにとってもよいです。
寒暖差とシニア犬への配慮
秋は、日中は暖かくても朝晩は冷える日が増えます。寒さは関節炎を悪くすることがあり、年をとった犬は、人と同じように体温の調節が苦手で、暑さにも寒さにも弱くなります。冷える朝は寝床に毛布を足す、散歩のあとに体を冷やさない、といった配慮が役立ちます。関節をいたわるなら、低い衝撃の運動(ゆっくりの散歩・水泳・軽い遊び)に切りかえます。シニア犬は、年に二度の健康診断で、体調の変化を早めに見つけられます。歩き方の変化や、立ち上がりにくさが気になるときは、動物病院に相談します。
秋は、長雨や台風で散歩に出られない日もあります。そんな日は、室内での遊びで、運動と頭の刺激をおぎないます。おやつをかくして探させる「におい遊び」、知育おもちゃ、短い「おすわり・まて」の練習などは、雨の日でも体と頭を使えます。散歩のリズムも、夏の早朝・夜から、日中の暖かい時間へ少しずつ戻していけます。ただし、朝晩の冷えや、急に寒くなった日は、短めに切り上げる、防寒する、といった調整をします。その日の天気と犬のようすに合わせて、無理のない運動量を選びます。
寒さの感じ方は、犬によってちがいます。短毛の犬、小型犬、子犬やシニア犬、やせ型の犬は、体が冷えやすいです。冷えやすい犬には、散歩のときに服を着せるのも一つの方法です。ただし、動きをさまたげない、サイズが合っている、いやがらない、という点を確かめます。室内では、寝床を冷たい床から少し離す、暖かい場所へ移す、といった工夫が役立ちます。暖房を使うときは、空気の乾燥や、ヒーターへの接触によるやけどにも気を配ります。
秋が深まると、日の出は遅く、日の入りは早くなります。朝晩の散歩が暗い時間にかかるようになるため、反射材や光るグッズに加えて、車や自転車の多い道を避ける、見通しのよい道を選ぶ、といった工夫で安全をたもちます。日照が短くなると、生活のリズムが変わる犬もいます。食事や散歩、就寝の時間をできるだけ一定にしておくと、犬も落ち着いて過ごせます。気温や日照の変化は少しずつ進むため、犬のようすを見ながら、暮らしのリズムをゆるやかに冬へ向けて整えていきます。
秋も続くノミ・ダニ対策
ノミやダニは夏だけのものではありません。秋になっても活動します。涼しくなっても油断はできません。
ノミやダニは、暖かく湿った時期に多くなりますが、秋になっても活動を続けます。暖かい秋には、その期間がさらに延びることもあります。ノミは室内や物置で冬を越し、屋外では落ち葉や刈った草の山のような、暗く湿った場所にひそみます。秋の散歩や、落ち葉の掃除のときにも、犬に付くことがあります。
対策の基本は、予防を続けることです。多くの獣医や専門機関は、季節を問わない通年の予防をすすめています。犬に合う予防薬は、動物病院で相談して選びます。散歩のあとは、体やすき間(耳のうしろ・足のつけ根・指の間)を見て、ノミやダニが付いていないかを確かめます。庭やベランダの落ち葉・刈り草を片づけておくことは、ノミの隠れ場所を減らす対策になり、拾い食い対策にもつながります。マダニにかまれると感染症のもとになることもあるため、見つけても無理に引き抜かず、動物病院で取ってもらうのが安全です。
ノミやダニが付いていないかは、ブラッシングや、帰宅後のふれあいのときに確かめられます。毛の根もとに黒い小さな粒(ノミのふん)がないか、皮膚にイボのようなふくらみ(吸着したマダニ)がないかを見ます。とくに、草むらや落ち葉の多い場所を歩いたあとは、念入りに見ます。室内では、犬の寝床やカーペットをこまめに掃除し、洗えるものは洗います。ノミは、目に見えない卵や幼虫の段階で室内にひそむため、成虫を見つけたときは、環境の掃除と予防薬の両方で対応します。どの予防薬を、いつ、どのくらいの間隔で使うかは、動物病院で犬に合わせて決めます。
散歩のコース選びも、ノミ・ダニ対策につながります。草が高くしげった場所や、落ち葉が深く積もった場所は、ノミ・ダニがひそみやすいため、できるだけ避けるか、通ったあとに念入りに体を見ます。庭やベランダがある家では、雑草を刈り、落ち葉をためないようにすると、すみかを減らせます。これは、拾い食い・誤食の対策とも重なります。秋の落ち葉の片づけは、見た目だけでなく、犬の健康のためにも役立つ手入れです。
台風・長雨への備え(秋の防災)
秋は台風の季節です。気象庁の平年値では、台風の上陸は9月がもっとも多く、台風シーズンのピークは秋の入り口にあたります。犬と暮らす家庭も、ふだんから備えておきます。
災害への基本の備え——同行避難の考え方、フードと水を5〜7日分そなえること、鑑札や迷子札・マイクロチップで身元がわかるようにすること——は、夏の停電・台風とも共通します。くわしくは犬の夏のケアの防災の章にまとめています。ここでは、秋の台風・長雨に特有の点を補います。
長雨が続くと、散歩に出られない日が増えます。室内でのにおい遊びや知育おもちゃ、短い遊びで、運動と頭の刺激をおぎないます。台風の前後は、急に気温が下がることがあり、寒暖差で体調をくずす犬もいます。雨があがった散歩道では、増水した側溝や川、飛ばされた枝や木の実、ぬれて傷んだ落ち葉に気をつけます。停電にそなえて、犬のフードや水、常備薬は少し多めにたくわえ、寒い時期は毛布や保温の用意もしておきます。避難するかどうかは、住まいの安全と地域の情報をもとに、家族で前もって決めておきます。地域の手続きや避難の方針は、板橋区で犬と暮らすの防災の章も参考になります。
台風が近づく前に、犬のための備えを見直しておきます。
- フードと水(5〜7日分)、常備薬・療法食。
- ケージやキャリー、リードと首輪。
- トイレ用品、ペットシーツ、ごみ袋。
- 鑑札・注射済票・迷子札、マイクロチップの情報、犬の写真、飼い主の連絡先。
- 保温用の毛布、停電にそなえた明かり。
雷や強い風の音をこわがる犬もいます。窓やカーテンを閉めて音や光をやわらげ、犬が落ち着ける奥まった場所に隠れられるようにしておくと安心です。こわがる犬を叱ったり、無理に音へ慣れさせようとしたりはしません。そばにいて落ち着かせてかまいません。音の不安が強い犬は、動物病院や専門家に相談すると、その子に合った対応が見つかります。
住まいが頑丈で安全なら、台風のときに自宅にとどまる「在宅避難」も選べます。その場合も、フードや水、トイレ用品の備えは欠かせません。停電で寒くなることもあるため、毛布や保温の用意をしておきます。家族のあいだで、もしものときに、だれが犬を連れ、何を持ち出すかを話し合っておくと、いざというときにあわてずに動けます。
台風が来る前には、最新の進路や雨・風の予報、住んでいる地域の避難の情報を、気象庁や自治体の発表で確かめます。明るいうち、雨や風が強くなる前に、散歩や排せつをすませておくと、ピークの時間に外へ出ずにすみます。台風が過ぎたあとの散歩は、いつもより気をつけます。増水した川や側溝に近づけない、飛ばされた枝・看板・木の実をふませない、ぬれて傷んだ落ち葉や、流れ込んだ泥水を口にさせない、といった点です。いつもの道が荒れていることもあるため、足もとをよく見て歩きます。
まとめ ― 季節の変わり目に合わせて整える
犬の秋のケアの土台は、季節の変わり目に合わせて、暮らしを少しずつ整えることです。夏毛から冬毛への換毛は、毛質に合ったブラシでこまめに。戻ってきた食欲は、体型を見ながら太らせない量に。散歩道の落ち葉・どんぐり・きのこは、拾い食いをさせない工夫と、誤食のうたがいがあればすぐ動物病院へ。涼しい季節は運動の好機ですが、寒暖差とシニアには配慮を。ノミ・ダニは秋も続くため、予防を切らさない。そして台風には、夏の防災とあわせて備える。どれも、むずかしいことではありません。
体調や中毒の見きわめは、動物病院の役割です。気になるサインがあれば、自己判断せず早めに相談してください。しつけや拾い食いの困りごとは、科学にもとづいて教えてくれる専門家に。困りごとの種類で相談先を使い分けると、答えにたどり着きやすくなります。一人でかかえこまず、早めに頼れる先を見つけておくことが、犬との暮らしを楽にします。
秋に整えた習慣は、そのまま冬の備えにつながります。涼しく過ごしやすいこの季節に、愛犬のようすをよく見て、無理のないペースで秋を楽しんでください。
- 犬の冬のケア——防寒・犬種差・雪の散歩・暖房・年末年始の誤食(季節の続き)
- 犬の夏のケア——熱中症・夏の散歩・防災(同行避難・備蓄)
- 動物行動学にもとづく犬のしつけ入門——拾い食い・しつけの全体像
- 子犬の社会化——子犬のころの関わり方
- 犬のしつけの手法——手法のえらび方
- 板橋区で犬と暮らす——地域の手続き・マナー・防災
参考にした情報(獣医・公的機関)
この記事のケア・対処・数値は、つぎの一次情報をもとにまとめています。最新の内容は各公式で確かめてください。診断・治療は動物病院の役割です。
出典一覧(クリックで開く)
K9 Harmony は、板橋区を中心に出張型のドッグトレーニングをおこなっています。散歩での拾い食いや、季節の変わり目の困りごとなど、暮らしに根ざした相談も、ご家庭の状況に合わせていっしょに整理します。犬がいちばん落ち着ける自宅で進められるのが、出張型の利点です。まずは体験から、お気軽にご相談ください。