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板橋区で愛犬と防災 ― 同行避難の備えと、マンション・水害リスクに合わせた「日頃の準備」

地震や水害のとき、愛犬をどう守るか。板橋区で犬と暮らす方に向けて、環境省と板橋区の一次情報をもとに「日頃の備え」をまとめました。結論を先にお伝えします。災害時の基本は、愛犬を置き去りにせず一緒に避難する「同行避難」です。ただし同行避難は、避難所でずっと一緒に暮らせることを意味しません。だからこそ、クレートに慣らす・持ち出し品をそろえる・自宅のリスクを知る、という平時の準備が要になります。

この記事では、板橋区ならではの視点で進めます。板橋の水害・地形のリスク、共同住宅が中心の住まいでの在宅避難、そしてクレート・キャリーへの慣らし方です。ひとつだけ先にお願いがあります。どの避難所が開設され、ペットを受け入れるかは、災害の種類や規模によって区がその時に決めます。この記事では特定の避難所は載せません。いざというときは、必ず板橋区の公式情報でご確認ください。

まず知る「同行避難」とは ― 同伴避難との違い

防災の記事でいちばん誤解されやすいのが、この言葉です。ここを最初に正しておくと、備えの中身が変わります。

同行避難は「一緒に避難する行動」。同室生活の保証ではない

環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン(一般飼い主編)」は、同行避難とは避難行動を示す言葉であり、避難所でペットを人と同室で飼養管理することを意味するものではない、と明記しています。板橋区も、同行避難は避難所での人とペットが同一の空間で居住することを意味するものではない、と同じ考え方を示しています。「同行避難できる」と聞くと、避難所でずっと一緒にいられると受け取りがちです。けれども、それは別の言葉です。

板橋区では「同伴避難」はできない

板橋区のペット災害対策マニュアルは、二つの言葉をはっきり分けています。同行避難は「ペットを連れて避難所等に避難をすること」、同伴避難は「連れて避難し、かつ避難所で同じスペースで一緒に過ごすこと」です。そのうえで、板橋区では「同伴避難はいずれの避難所もできません」と明記しています。つまり、避難所に一緒に行くことはできても、同じ部屋で一緒に過ごすことはできません。ペットは人とは別のスペースで過ごします。この前提を知っておくと、次の備えの意味がはっきりします。なお、盲導犬・介助犬・聴導犬などの補助犬は別で、板橋区マニュアルは、身体障害者が補助犬と共に避難してきた場合、その同伴を拒んではならないと法律で定められている、としています。

ここを知っておくと、備えの向きが定まります。避難所でずっと一緒にいられないのなら、ペットが人と離れた場所でも落ち着いていられるように、日頃から慣らしておくことがたいせつになります。また、自宅がぶじなら、慣れた家でそのまま過ごす在宅避難のほうが、犬にとっては楽なこともあります。「同行避難できる」を「避難所で一緒に暮らせる」と読みちがえないこと。それが、正しい備えの出発点になります。言葉の意味を先に正しておくだけで、次にそろえるものも、日頃のしつけの中身も、はっきり見えてきます。

板橋区のペット同行避難の方針

板橋区が、災害時にペットをどう受け入れる方針かを押さえます。ここは区の「方針」の話で、どの避難所が開設・受入になるかは災害時に区が決めます。個別の避難所は載せません。板橋区で犬と暮らす手続きや施設の全般は板橋区で犬と暮らすにまとめています。

避難所が開設されれば、ペットを連れて避難できる

板橋区は、大規模な地震や風水害が発生し、避難所(区立小・中学校等)が開設された場合、飼っているペットを連れて避難できる、としています。受け入れの対象は、犬・猫・小鳥その他の小動物(危険を及ぼさない動物等)です。ただし、受け入れには条件があります。板橋区が挙げているのは、飼い主がケージ・リードを用意していること、餌や水を用意し、餌やりや糞尿の始末を飼い主自身が行うこと、無駄吠えしない・飼い主の指示に従うといった基本的なしつけができていること、犬は狂犬病予防注射済票を持っていることです。予防接種を受けていない場合は原則受け入れできず、事情がある場合は受付で相談、とされています。

人とペットの居住区は分ける。地震と風水害で場所が変わる

板橋区は、避難所には動物が苦手な人やアレルギーのある人もいるため、人とペットの居住区は分ける、としています。ペットはテントなどで雨に濡れないよう対策をした場所で、ケージ内や繋ぎとめにより過ごします。ここで板橋区ならではの点があります。台風などの風水害の場合は、テントを屋外に立てるのが危険なため、屋内で避難スペースから離れた場所(学校の場合は昇降口等)がペットの受入スペースになる、としています。地震と風水害で、ペットの居場所の考え方が変わります。ペットの防災についての問い合わせ先は、板橋区の危機管理部 地域防災支援課(電話 03-3579-2151)です。一部の施設にはペットの受入スペースがありません。どの避難所が開設され受け入れるかは、災害時に区の公式情報で確認してください。

避難所では、犬が好きな人もいれば、苦手な人やアレルギーのある人もいます。板橋区も、飼い主にはふだん以上に周囲への配慮が求められる、としています。ほかの飼い主と当番で世話を分け合う、といった助け合いも要ります。同行避難は、じぶんの犬を守るだけでなく、まわりの人とうまくやっていく心がまえとセットです。この心がまえも、平時のしつけとおなじで、当日いきなりは身につきません。ふだんから、犬が人の多い場所でも落ち着けるように慣らしておくことが、避難所での過ごしやすさにつながります。よく吠える子、人をこわがる子は、その練習を早めに始めておきます。

板橋の地形・災害リスクに備える

全国共通の防災情報は、たくさんあります。けれども、あなたの住まいのリスクは、住む場所で変わります。板橋区の地形・災害リスクに合わせて備えることが、遠回りに見えていちばんの近道です。ここが、この記事でいちばん力を入れる部分です。

板橋には、川沿いの水害リスク地域がある

板橋区は、荒川・新河岸川・白子川といった川に接しています。板橋区の浸水・土砂災害対策のページには、浸水履歴や、新河岸川及び白子川の河川整備計画、そして舟渡地区・新河岸地区に向けた「水害避難ルールブック」が掲載されています。区がこうした地区向けのルールブックを作っていること自体が、板橋に川沿いの水害リスク地域があることを示しています。台風やゲリラ豪雨による浸水は、板橋区でも起こりうる災害です。犬と暮らす家庭では、この水害リスクを前提に備えを組み立てます。

まず「自宅のリスク」をハザードマップで知る

避難所へ行くのか、自宅にとどまるのか。その判断は、自宅のリスクを知っているかどうかで変わります。荒川の氾濫、川の増水による内水氾濫、土砂災害など、危険の種類と深さは地区ごとに異なります。板橋区の防災マップ・各種ハザードマップで、自宅がどのリスクにあたるかを、平時のうちに確かめておきます。浸水の深さによっては、上の階へ移動する「垂直避難」が現実的な場合もあります。愛犬を連れてどう動くかは、自宅のリスクによって変わります。数字は住まいごとに違うので、ここでは断定せず、必ずご自身の住まいで確認してください。

犬を連れた避難は、経路の危険に気をつける

いざ避難するときは、道のりにも危険があります。板橋区のマニュアルは、倒壊した建物や切れた電線など、避難場所までの経路には危険な箇所が多くあるため、足元や頭上に気を配り、落ち着いて行動する、としています。犬を連れていると、足元のガラスや釘、熱くなった路面、パニックでの飛び出しにも注意が要ります。小型犬は抱っこやキャリーで、地面の危険から守りながら運びます。避難の経路も、水害と地震で安全な道が変わります。平時に、自宅から避難先までの道を一度歩いて確かめておくと、当日あわてずにすみます。

水害は「川からはなれる・早めに動く」が基本

水害と地震では、逃げ方の考え方が変わります。地震では、まわりが安全なら建物の外の避難所へ。水害では、川からはなれる、あるいは高いところへ、という動きになります。板橋のように川に接した地域では、雨が強まる前の、まだ落ち着いて動けるうちに避難を判断することが、犬連れではとくにたいせつです。犬を連れての移動は、人だけのときよりも時間がかかります。早めに動くことが、そのまま安全につながります。強い雨や増水がはじまってからでは、犬を抱えての移動そのものがあぶなくなります。天気の情報をこまめに見て、「まだ大丈夫」ではなく「早めに」を合言葉にします。マンションの上の階に住んでいて、自宅が浸水の想定より高いなら、無理に外へ出ず、家にとどまる垂直避難が安全なこともあります。ここでも、判断のもとになるのは自宅のハザードリスクです。

平時のしつけ ― クレート・キャリーに慣らしておく

多くの防災記事は「ふだんからケージに慣れさせておきましょう」の一言で終わります。ここは、出張ドッグトレーナーとしていちばんお伝えしたい部分です。慣らし方には順番があります。

避難所にケージはない。慣れは平時にしか作れない

板橋区は、避難所にケージはないため飼い主が用意すること、ふだんからケージに慣れていない動物はストレスがたまるため、日頃から慣らしておくことが必要だ、としています。あわせて、発災時にはペットがパニックになっていつもと違う行動をとることがあるため、ふだんからキャリーバッグなどに入ることを嫌がらないことや、犬の場合は「待て」「おいで」などのしつけをしておく、とも挙げています。環境省も、犬の平常時の備えとして「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」ことを挙げています。慣れは、災害が起きてからでは作れません。ふだんの暮らしの中で積んでおくものです。

「入れて閉める」ではなく、小さく慣らす

慣らし方でいちばん多い失敗は、いきなり入れて扉を閉めることです。順番は、クレートに近づいたらほめる、じぶんから入るのを待つ、中でおやつや食事をあげる、短い時間だけ扉を閉める、少しずつ時間をのばす、という小さなステップに分けます。中を「閉じこめる箱」ではなく「安心して休める巣」にしておくと、避難先の慣れない場所でも落ち着きの手がかりになります。クレート・キャリーの段階的な慣らし方は、犬のクレートトレーニングでくわしく扱っています。防災のためだけでなく、通院や来客のときにも、この慣れがそのまま役立ちます。うまくいかないときは、一人で抱え込まず、動物病院や獣医行動の専門家に相談してください。

避難先は、いつもと違う音とにおいに満ちた場所です。まわりに知らない人や犬がいて、その子は落ち着きにくくなります。そんなときに、いつも使っているクレートやキャリーがそばにあると、「ここはじぶんの安心できる場所だ」という手がかりになります。中に、ふだん使っているにおいのついた敷物を入れておくと、なお落ち着きやすくなります。慣らしは、一日でできるものではありません。数日から数週間かけて、少しずつ積んでいきます。防災のための特別な訓練を新しく足すというより、毎日の暮らしの中でキャリーを「いつもの巣」にしておくこと。それが、いざというときの支えになります。今日、キャリーの扉を開けて、中におやつを一つ置くところから始められます。

平時の備え ― 持ち出しと備蓄

持ち出し品のリストは、多くの記事に載っています。ここは要点を手短に押さえ、見落とされがちな「所有の証明」に少し字数を使います。

フード・水は最低5日、できれば7日分以上

板橋区は、指定避難所などにペット用の救援物資が届くまで時間がかかることがあるため、餌や水は少なくとも5日分、できれば7日分以上を用意しておく、としています。餌は、保存性がよく缶詰より軽いドライフードが向いていて、ふだんからドライフードを食べる習慣をつけておくことをすすめています。持ち出し品には優先順位をつけ、優先度の高いものは避難時にすぐ持ち出せるよう、人の避難用品と一緒に保管します。持病があって薬を飲んでいる子は、その薬も忘れずに備えます。薬の種類や量はじぶんで判断せず、かかりつけの動物病院に相談して、備えの分をそろえておいてください。

所有の証明 ― マイクロチップは令和4年から登録が義務に

災害で愛犬とはぐれたとき、その子が「じぶんの家の子」だと示せることが、再会の助けになります。板橋区は、迷子札は取れてしまうことがあるのに対し、マイクロチップは取れないため個体識別にとても有効だ、としています。板橋区のマニュアルは、動物愛護法の改正により、令和4年6月1日から、マイクロチップを装着している犬・猫については、国(環境省)指定の登録機関である日本獣医師会への情報の登録・変更が義務化された、と説明しています。板橋区では、日本獣医師会への登録が済んでいるマイクロチップを装着している場合、そのマイクロチップが犬の鑑札の代わりになる、ともしています。迷子札・鑑札・狂犬病予防注射済票をつけたうえで、マイクロチップの登録も済ませておくと、所有の証明が重なって安心です。あわせて、毛の色や耳の形など、その子の特徴を言えるようにしておきます。

預け先を決めておく・多頭飼育は応援を頼んでおく

板橋区は、親戚や友人など、いざというときに動物を預かってくれる先を探しておくことをすすめています。多頭飼育で、飼い主だけでは全頭を連れて避難できないと想定される場合は、あらかじめ周囲の人や友人に協力を頼んでおきます。避難所に連れて行くのが難しい状況もあります。そのときの預け先を平時に決めておくと、選択肢が広がります。愛犬の性格や頭数に合わせて、「連れて避難する」「預ける」「在宅で守る」の三つの道を、あらかじめ考えておきます。

備蓄は、しまい込むより「使いながら備える」ほうが続きます。フードや水を少し多めに買っておき、古いものから使って、使った分を買い足す。この繰り返しなら、いざというときに期限切れで使えない、ということが起きません。犬のフードは、ふだん食べ慣れたものをそのまま備えておくと、避難先でも食べてくれます。慣れないフードは、ストレスのなかでは口をつけないことがあるからです。おやつや、水に混ぜる栄養補助の食べ物も、少し備えておくと、食欲が落ちたときの支えになります。半年に一度など、日を決めて中身を見直すと、いつのまにか期限が切れていた、ということを防げます。

K9の「医療・防災手帳」で、愛犬の情報を一つにまとめる

K9 Harmonyの体験トレーニングを受けると、初回の登録(オンボーディング)で入力した愛犬の情報をもとに、LINEで使える「医療・防災手帳」をお使いいただけます。医療の記録・常用薬・かかりつけ医・緊急連絡先・避難先を一つにまとめ、防災手帳や迷子ポスター、クレートタグのPDFをその場で作れます。持ち出しのチェックリストや、家族と分け合えるQRコード、緊急の通報(110・119)や避難先への経路案内もついていて、ネットがつながりにくい災害のときも、オフラインで見られるようにしています。ふだんの情報を一つにまとめておくと、いざというときにあわてずにすみます。なお、この手帳や作ったPDFは、飼い主が備えを整えるためのもので、公的な効力はありません。避難所の受け入れや行政の手続きは、区の公式の案内にしたがってください。愛犬の情報を整えるところからいっしょに始めたい方は、体験トレーニングからどうぞ。

マンション・集合住宅での在宅避難とペット

ここが、板橋区で犬と暮らす方にとって、いちばん実際的な部分です。多くの防災記事は「避難所へ行く」を前提に書かれています。けれども、マンション住まいでは、考え方が変わります。

自宅が安全なら「在宅避難」が基本

板橋区は、避難所は自宅での生活が困難になった区民が一時的に生活する場所であり、自宅が耐震機能を有し被害が軽微な場合は、在宅での生活「在宅避難」を基本としてください、と明記しています。環境省のガイドラインでも、避難の判断は「在宅避難」と「同行避難」に分かれます。マンションで、建物がぶじで自宅が安全なら、まず考えるのは在宅避難です。同伴避難ができない以上、慣れた自宅で愛犬と過ごせる在宅避難は、犬にとっても負担が小さい選択です。マンションで犬と暮らすうえでの近隣配慮の考え方も、そのまま在宅避難に活きます。犬が一人の時間を落ち着いて過ごす練習は犬の留守番にまとめていて、在宅避難でも役立ちます。

板橋は共同住宅が中心 ― 停電・断水・高層階の備え

板橋区の住宅白書によると、区内の住まいは共同住宅が78.3%を占めます。集合住宅での在宅避難には、戸建てとは違う備えが要ります。停電でエレベーターが止まると、高層階では水やフードの運び上げが重い負担になります。水と食料を家に多めに備えておくこと、断水に備えて水をためておくことが、犬の分も含めて要ります。上下階やとなりへの吠え・臭いへの配慮も、平時以上にたいせつになります。犬が落ち着ける定位置(クレート)があると、余震や物音の続く在宅避難でも、犬の不安がやわらぎます。ベランダを避難経路と考えている場合は、犬の落下や、隔て板の破り方も平時に確かめておきます。

在宅避難で、数日を犬と乗り切る備え

在宅避難といっても、ただ家にいるだけではありません。数日から一週間、水も止まり停電したなかで、犬と暮らせるように備えておくことです。水は、飲み水のほかに、体をふいたり食器を洗ったりする分も要ります。トイレのシートは多めにそろえておきます。犬が落ち着ける場所を、窓ガラスから離れた家の内側につくっておくと、余震のときも安心です。ふだんの散歩ができないぶん、家のなかで軽く体を動かせる遊びや、かむおもちゃを用意しておくと、犬のストレスがやわらぎます。近所への吠えも、落ち着ける場所があるだけで、ずいぶん減ります。停電で暑さや寒さがしのぎにくいときは、犬の体温にも気を配ります。夏は熱がこもらないように、冬は毛布などで冷えを防ぎます。体調にいつもと違うところがあれば、無理にじぶんで判断せず、動けるようになった時点でかかりつけの動物病院に相談します。

小型犬・トイプードルならではの配慮

環境省は、小型犬はリードをつけたうえで、キャリーバッグやケージに入れて避難する、としています。トイプードルのような小型犬は、抱っこやスリング、キャリーでの移動が現実的です。高層階からの階段移動では、抱えて運ぶ場面が増えます。体が小さいぶん、寒さや暑さ、揺れのストレスを受けやすく、脱走もしやすいので、リードとキャリーの二重の備えで守ります。ふだんからキャリーを「こわい箱」ではなく「いつもの巣」にしておくことが、小型犬の避難をぐっと楽にします。避難のときに新しく買いそろえるより、毎日使っているキャリーをそのまま持ち出せるようにしておきます。

避難の生活は、犬にとっても、いつもと違う日々です。人の出入りが多く、音もにおいも変わります。そんなとき、犬はいつもより甘えたり、ごはんを食べなくなったり、そわそわしたりします。これは、わがままではなく、不安のあらわれです。しかってやめさせるのではなく、そっとそばにいて、落ち着ける場所をつくってあげます。少しでも外の空気を吸える時間があれば、犬の気持ちはやわらぎます。飼い主が笑って声をかけるだけでも、犬は安心します。反対に、飼い主がぴりぴりしていると、それが犬にも伝わります。だからこそ、飼い主じしんが落ち着いていられるように、日頃の備えをしておくことが、めぐりめぐって犬を守ることになります。いつもと違うようすが続くときや、食べない・元気がないといったことがあれば、動ける時点でかかりつけの動物病院に相談します。

いざという時の流れと、必ず確認すること

最後に、災害が起きたときの流れを整理します。あわてないためには、順番を先に知っておくことです。

自宅の安全確認 → 準備 → 避難の判断

まず、じぶんと家族、そして自宅の安全を確認します。自宅が安全なら在宅避難、危険なら避難の準備に移ります。環境省は、避難時の犬の準備として、リードを付け、首輪が緩んでいないか、鑑札・狂犬病予防注射済票を装着しているかを確認すること、小型犬はリードをつけたうえでキャリーバッグやケージに入れること、避難用品を持って指定緊急避難場所へ向かうことを挙げています。板橋区のマニュアルは、ペット同行避難をした場合、避難所の受付で「ペット同行避難者受付用紙」の記入が必要になる、としています。持ち出し品と受付の流れを知っておくと、当日の動きがスムーズになります。

開設される避難所・受入は、災害時に区の公式で確認する

ここが、いちばんたいせつな注意です。どの避難所が開設され、ペットを受け入れるかは、災害の種類や規模によって、その時に区が決めます。だから、この記事では特定の避難所を載せていません。いざというときは、板橋区のホームページや「いたばし防災+アプリ」などの区の公式情報で、開設状況と受入を必ず確認してください。古い情報や人づての話で受け入れていない場所へ向かうと、愛犬にもじぶんにも危険が及びます。平時にやっておくのは、板橋区の防災情報をどこで見られるかを知っておくこと、そして自宅のハザードリスクとクレートの慣れを整えておくことです。

情報の集め方も、平時に決めておきます。板橋区は「いたばし防災+アプリ」を出していて、災害時の知らせを受け取れます。区のホームページや、区の公式のSNSも、いざというときの手がかりになります。停電でスマートフォンが使えないときに備えて、電池で動くラジオを一つ用意しておくと安心です。家族のあいだで、「どこで待ち合わせるか」「連絡がつかないときはどうするか」を、犬のことも含めて話しておきます。誰が犬を連れて動くのか、誰が持ち出し品を持つのかを決めておくと、当日まようことがありません。こうした話し合いは、休みの日にでも、家族みんなで一度やっておくだけで、いざというときの動きがまるで変わってきます。

よくある質問

板橋区で犬と暮らす方から届く、防災についての質問にお答えします。

Q. マンションでは、避難所と在宅避難のどちらを選べばよいですか。

自宅の建物がぶじで、被害が軽いなら、在宅避難が基本です。板橋区も、自宅が安全なときは在宅避難を基本としてください、としています。判断のもとになるのは、自宅のリスクです。荒川や川の氾濫で自宅がどれくらい浸水するか、土砂の危険があるかを、板橋区のハザードマップで平時にたしかめておきます。浸水の深さによっては、上の階へ移る垂直避難という選び方もあります。自宅があぶないときだけ、避難所へ向かいます。まずは、じぶんの住まいがどのリスクにあたるかを知ることからです。

Q. うちの子はクレートが苦手です。今からでも間に合いますか。

間に合います。慣らしは、数日から数週間かけて、少しずつ進めます。近づいたらほめる、じぶんから入るのを待つ、中でおやつをあげる、短く扉を閉める、という小さなステップに分けます。いきなり入れて閉めるのではなく、「入ると良いことがある」を積み上げていきます。防災のためだけでなく、ふだんの通院や来客にも役立つので、今日から一つずつ始めておきます。くわしい手順は犬のクレートトレーニングにまとめています。

Q. 避難所に連れて行けば、ずっと一緒にいられますか。

いいえ。避難所へ連れて避難すること(同行避難)はできますが、避難所で同じ部屋で一緒に暮らすこと(同伴避難)は、板橋区ではできません。ペットは、人とは別のスペースで過ごします。だからこそ、犬が人と離れた場所でも落ち着いていられるように、日頃からクレートに慣らしておくことがたいせつになります。ここを知らずにいると、当日「こんなはずでは」とあわてることになります。

Q. どの避難所がペットを受け入れているか、教えてください。

この記事では、特定の避難所は載せていません。どの避難所が開設され、ペットを受け入れるかは、災害の種類や規模によって、その時に区が決めるからです。古い情報で受け入れていない場所へ向かうと、かえってあぶないことになります。いざというときは、板橋区のホームページや「いたばし防災+アプリ」など、区の公式情報で必ずたしかめてください。平時にやっておくのは、その情報をどこで見られるかを知っておくことです。

まとめ ― 板橋で愛犬と生き抜くために

災害時の基本は、愛犬を連れて避難する「同行避難」です。ただし避難所で同室に暮らす「同伴避難」は板橋区ではできません。だからこそ、平時の備えが要になります。板橋の水害リスクを自宅のハザードマップで知り、共同住宅なら在宅避難を第一に考え、クレート・キャリーに慣らし、フードと所有の証明を整える。そして、開設される避難所と受入は、いざというときに必ず区の公式で確認する。この積み重ねが、いざというときに愛犬を守ります。

防災は、あれもこれもと考えると、身がまえてしまいます。けれど、やることは、そんなに多くありません。まず、じぶんの住まいのリスクを知る。次に、犬が落ち着ける場所をつくり、キャリーに慣らしておく。そして、水とフードを少し多めに、使いながら備える。この三つを、今日から一つずつ始めれば十分です。完ぺきをめざして疲れてしまうより、小さな一歩を続けるほうが、いざというときに効いてきます。愛犬にとっていちばんの安心は、いつもそばにいる家族が、落ち着いていることです。飼い主が備えをもっていれば、その落ち着きが、そのまま犬にも伝わります。あわてないことが、いちばんの守りになります。

防災の備えは、その家の間取りや、愛犬の性格・大きさによって、合うやり方が変わります。板橋区とその周辺で、出張型のドッグトレーニングを行っています。クレートの慣らし方や、マンションでの落ち着ける居場所づくりなど、お住まいに合わせて一緒に整えます。気になることがあれば、体験や相談から、お気軽にどうぞ。日頃の備えを、今日から一つずつ始めていきます。

参考にした情報(公的機関)

本記事は、環境省・板橋区などの一次情報をもとにしています。最新の内容や、災害時の避難所の開設・受入は、各公式でご確認ください。健康や薬に関わることは、かかりつけの動物病院(獣医師)にご相談ください。

参考にした情報(クリックで開く)
  • 環境省『災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン(一般飼い主編)』(参照 2026-07)env.go.jp
  • 板橋区『避難所へのペット同行避難について』(参照 2026-07)city.itabashi.tokyo.jp
  • 板橋区『ペット災害対策マニュアル』(参照 2026-07)city.itabashi.tokyo.jp
  • 板橋区『浸水・土砂災害対策』(参照 2026-07)city.itabashi.tokyo.jp
  • 板橋区『防災マップ・各種ハザードマップ』(参照 2026-07)city.itabashi.tokyo.jp
  • 板橋区『住宅白書』(共同住宅の割合 78.3%・参照 2026-07)板橋区のトイプードル内で出典を明示

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