共働きで、マンションでトイプードルなどの小型犬と暮らしていると、留守番をどうさせるかは切実な悩みになります。留守のあいだに鳴いていないか、いたずらをしていないか、近所に迷惑がかかっていないか。気がかりは尽きません。多くの記事は「短い時間から少しずつ慣らしましょう」という練習を主役にします。けれど、共働きでマンション暮らしの場合、留守番がうまくいくかどうかの大半は、留守に入る前の準備、つまり運動や刺激、過ごす場所の設計で決まります。慣らしは、その土台の上に乗せる補助です。留守番の失敗は、叱って直す問題ではありません。
この記事では、犬の留守番を、動物行動学と獣医団体の一次情報をもとに整理します。はじめに、ひとくちに「留守番が苦手」といっても原因の層が違うこと。次に、退屈と刺激を先回りで整える土台づくり、共働きの一日の組み方、その上に乗せる慣らしの手順と、世間でよく言われるやり方の検証。そして、マンションでの近隣への配慮と、設計しても崩れるときに疑う分離不安まで、順に見ていきます。さいごに、飼い始めの方からよく出る質問にも答えます。
先にお伝えしておきたいことがあります。留守のたびに強く鳴き続ける、物をこわす、室内で粗相をする、大量によだれを垂らす、体をなめ壊す。こうしたようすが重なるときや、これまでできていた留守番が急にできなくなったときは、動物病院や行動診療科の領域です。この記事は毎日の関わり方と環境を整えるためのもので、診断や治療の代わりにはなりません。気になるようすがあれば、様子を見すぎず、早めにかかりつけへ相談してください。留守番の得意・不得意は、犬種・年齢・性格・暮らしによって大きくちがいます。自分の犬に合わせて読み替えてください。
マンションでは、留守番中の鳴き声や足音への近隣配慮も気がかりです。吠えそのものの読み解き方と直し方は犬の無駄吠えはなぜ?に、足音やにおい、共用部のマナーといった近隣への配慮全般はマンションで犬と暮らすにまとめています。この記事は、その土台になる「ひとりの留守番をどう設計し、どう慣らすか」を扱います。
なぜ「慣らし」だけでは留守番が安定しないのか
「留守番が苦手」とひとことで言っても、その中身はひとつではありません。退屈してそわそわする子、物音やインターホンに反応する子、人と離れること自体に強い不安をもつ子では、起きていることが別物です。米国動物虐待防止協会(ASPCA)は、分離不安とよく似て見えるけれど別に確かめるべき問題として、退屈や、不完全なトイレ、過剰な吠えなどを挙げています。原因の層が違うものを、ひとつの「段階的に慣らす」だけで解こうとすると、うまくいきません。まずは、自分の犬がどの層に当てはまるかを見分けるところから始めます。
| 留守番が苦手のタイプ | 出やすいサイン | 解き方の方向 |
|---|---|---|
| 退屈・刺激不足 | 物をかじる・いたずら・落ち着かない | 留守前の運動と知育で先回り(土台) |
| 物音・来客への反応 | インターホンや物音で吠える・そわそわする | 引き金を減らす環境づくり |
| 分離不安 | 留守のたびに強く鳴く・こわす・粗相・よだれ | 動物病院・専門家へ(別の層) |
退屈・刺激不足のタイプ
ひとつめは、退屈と刺激不足です。ASPCAは、犬には頭をつかう刺激が必要で、退屈すると、することを探していたずらに向かう、と説明しています。とくにトイプードルは、アメリカンケネルクラブ(AKC)が「小さな体の運動家」と表すように活動的な犬種で、体と頭を使う機会が足りないと、留守のあいだに気持ちのやり場をなくします。この層は、留守に入る前に運動と頭の刺激を満たしておくことで、大きく和らぎます。くわしくは次の章で扱います。
物音・来客に反応するタイプ
ふたつめは、物音や来客への反応です。VCA動物病院は、留守番が苦手に見える犬の中には、ひとりのときに雷や花火など、こわい思いをした経験から留守を怖がる子がいる、と説明しています。マンションは、インターホン、宅配、エレベーターの音、上下階の生活音など、刺激の引き金が多い住まいです。この層は、留守番の場所や音の環境を整えることで和らぎます。留守番中に吠えること自体の直し方は犬の無駄吠えはなぜ?にまとめています。
分離不安のタイプ
みっつめが、分離不安です。ASPCAとVCAは、分離不安を、強く愛着をもつ人と離れることで犬が強い不安に陥り、鳴き続ける・物をこわす・室内で粗相をするなどの行動が出る状態だと説明しています。これは、退屈や物音への反応とは層が違い、短い不在から慣らすだけでは解けないことがあります。自己流で抱えこまず、専門家の手が要る層です。くわしくは最後の章で扱います。この三つは重なることもありますが、「どれが主か」を見きわめると、打ち手がはっきりします。層を取りちがえると、打ち手が空ぶりします。退屈が主なのに慣らしばかりしても、刺激不足は埋まりません。逆に、分離不安が主なのに「とにかく短時間から留守番の練習」を重ねると、ひとりにされること自体がこわい犬には、つらい時間をくり返させることになります。だからこそ、まず「どの層か」を見るところから始めます。
留守番の土台を作る ― 退屈と刺激を先回りで設計する
米国獣医行動学会(AVSAB)は、飛びつき・吠え・トイレといったよくある困りごとは、環境を適切に整え、望ましい行動を認めて伸ばすことで対応できる、とポジションステートメントで述べています。留守番も、同じ考え方が土台になります。留守のあいだだけをどうにかしようとするより、留守に入る前の運動・刺激・過ごす場所を整えるほうが、ずっと効きます。ここは、出張トレーニングでご家庭を訪問したとき、最初に見直すところでもあります。
運動と頭の刺激を先に満たす
留守番の前に、体と頭をしっかり使わせておきます。ASPCAは、退屈した犬がいたずらに向かうことに触れ、頭をつかう刺激の大切さを挙げています。出かける前に散歩や遊びでエネルギーを発散させ、食べ物を詰める知育のおもちゃなど、ひとりでも頭を使える遊びを用意します。トイプードルのように活動的で覚えの早い犬種は、刺激が足りないと留守を持てあましがちです。朝のひと運動をふだんの習慣にするだけでも、留守のあいだの落ち着きが変わってきます。ひとりでも頭を使える遊びには、いくつかの形があります。ごはんの一部を、フードを詰めるおもちゃに入れて、なめたり転がしたりして食べさせる。小さく分けたおやつを部屋のあちこちに隠して、においで探させる。かみ応えのあるおもちゃを、留守の前に渡す。どれも、ひとりの時間を「退屈な時間」から「楽しみのある時間」に変えるための工夫です。出かける前に体を動かし、留守に入ってから頭を使う遊びがあると、犬は満たされて、自然と休みやすくなります。
マンションの刺激を整える
次に、留守番の場所と音の環境です。インターホンや宅配の音は、留守番中の犬にとって大きな引き金になります。留守番の場所は、玄関や窓ぎわから少し離し、外の人通りや物音が届きにくい位置を選びます。カーテンで外が見えないようにする、テレビやラジオの音をほどよく流して物音をやわらげる、といった工夫も役立ちます。VCAが触れるように、物音への不安が背景にある子では、引き金そのものを減らす環境づくりが効きます。留守の前に整えておくと、留守番中に身がまえる場面が減ります。
安心して過ごせる居場所をつくる
留守番の居場所は、犬が安心できる場所にします。Humane World(旧HSUS)は、クレート(屋根のある囲い)の練習は、まわりが騒がしいときに犬が落ち着ける静かで安全な場所を求める性質を利用したものだと説明しています。同時に、クレートを罰として使わないこと、一日中入れっぱなしにすると運動や人との関わりが足りず、気持ちがふさいだり不安になったりすることにも触れています。クレートは安心の場であって、長い留守を埋める道具ではありません。狭い場所を好む性質の背景はトイプードルのトイレのしつけでも触れています。合う子には安心の居場所として使い、強く出たがる子には、サークルなど別の落ち着ける区画を用意します。サークルを使うときは、その中をゆるく分けて配置すると、犬が落ち着きやすくなります。奥に寝床、出入り口から離れたところにトイレ、というように、寝る場所と排泄の場所を分けます。留守番の場所には、ふだん使っているにおいのついた敷物やタオルを置くと、安心の手がかりになります。新しいものでかためるより、いつものにおいがあるほうが、犬は落ち着きます。クレートを安心できる巣にする段階的な慣らし方は、犬のクレートトレーニングでくわしく扱っています。
共働きの一日を、留守番が成り立つように組む
共働きの家庭では、留守が9時間、10時間と長くなりがちです。長い留守を、どう無理なく組むか。まずは、犬が排泄をがまんできる時間の目安を土台にして、一日を組み立てます。
留守番できる時間の目安
AKCは、子犬が生後3か月をすぎると、月齢1か月につきおよそ1時間ずつ排泄をがまんできるようになる、と説明しています(たとえば生後4か月なら4時間ほど)。成犬でも、トイレの機会なしに留守番させるのは6〜8時間ほどまでにとどめるのがよい、としています。ただしAKCは、これは目安で、犬によってちがうこと、その子をよく見て合わせることが大切だ、とも述べています。これは膀胱をがまんできる時間の話で、ひとりでいられる情緒の限界とは別の軸です。両方を見て、留守の長さを決めます。
長い留守をどう割るか
がまんの限界を超える長さになるときは、留守をいくつかに割る工夫をします。朝のうちに、しっかり運動と排泄をすませる。日中に家族のだれかが一度もどる、それがむずかしければ、散歩の代行やペットシッターに来てもらい、トイレと運動の機会をつくる。見守りカメラは、留守のようすを知るのに役立ちます。ただし、カメラは状態を知るための道具で、見ているだけで不安が解けるわけではありません。土台の設計が先で、カメラはその確認に使います。子犬は、成犬よりがまんできる時間が短いぶん、留守を割る工夫がより要ります。たとえば、朝は出かける少し前に起こして散歩と朝ごはんをすませ、出る直前にもう一度トイレへ。昼は、家族のだれかが短い時間でももどれるなら、その時間にトイレと声かけ、外の空気を入れます。もどれないときは、週に何度か散歩の代行やペットシッターに入ってもらい、長い無人の時間をふたつに割ります。夕方に帰ってからは、たっぷり遊んで一日のつじつまを合わせます。こうして留守を区切ると、がまんの限界を超えにくくなります。
出かける前のひと手間
出かける前のひと手間も、留守番を支えます。直前に排泄と運動をすませ、知育のおもちゃを渡してから出ます。このとき、出入りを淡々とするのがこつです。VCA動物病院は、出かけるときも帰ったときも、興奮した大げさなやりとりは避けるのがよいと述べています。大げさな見送りやただいまは、犬にとって留守の前後を「特別な出来事」にしてしまいます。静かに出て、静かに帰る。これだけでも、留守の前後の気持ちの波が小さくなります。出かける時刻が決まっているなら、その少し前に散歩をすませておくと、犬は運動のあとの心地よいねむけのなかで留守番に入れます。バタバタと支度をして、あわてて出ていくよりも、ゆとりをもって送り出すほうが、その落ち着きが犬にも伝わります。
その上で「慣らし」を足す ― 失敗させない手順と、よくある通説の検証
土台が整ったら、ここで初めて「ひとりに慣らす」練習を足します。慣らしは主役ではなく、土台の上に乗せる補助です。大事なのは、犬を不安にさせない範囲で、少しずつ積むことです。
ひとりの時間を少しずつ積む
VCA動物病院は、留守番の慣らしでは、出かける前の支度(鍵や上着など)を、こわいものではなく良いことと結びつけ、ひとりの時間を、犬がいつも落ち着いていられる範囲で、少しずつ、規則的でなく延ばしていくのがよいと説明しています。数十秒の不在から始め、犬が平気な範囲を確かめながら延ばします。途中で強く鳴いたり取り乱したりするなら、時間を延ばしすぎたサインです。一段戻して、落ち着いていられる長さからやり直します。失敗させない、つまり不安に陥らせないことが、慣らしのいちばんのこつです。系統立てて慣らす考え方は犬のしつけの手法にもまとめています。あわせてVCAは、出かけるそぶりそのものへの慣らしも挙げています。鍵を手に取る、上着を着る、かばんを持つ。こうした動きを、実際には出かけずに、ふだんの暮らしの中で何度もくり返します。すると、その動きが「これから留守になる合図」ではなくなり、犬が身がまえにくくなります。出かけるしたくと、出かけることを、少しずつ切り離していくイメージです。
通説の検証①「帰ってきても無視する」
留守番の記事では「帰宅したら犬を無視する」とよく言われます。これは、正確には少しちがいます。VCAが避けるべきだとしているのは、興奮した大げさな再会であって、犬を冷たく無視することではありません。帰ったら、落ち着いた声で静かに迎え、犬が落ち着いてからゆっくりかまえば十分です。無視すること自体が目的ではなく、留守の前後を大ごとにしないことが目的です。淡々と接することと、冷たくあしらうことは別物です。
通説の検証②「甘やかすから分離不安になる」
もうひとつ、「甘やかすから分離不安になる」ともよく言われます。ASPCAは、分離不安の背景として、保護施設から迎えられた犬に多いことや、大切な人を失う経験が関わることを挙げていて、飼い主の甘やかしを原因としては挙げていません。甘えん坊だから、可愛がりすぎたから、と自分を責める必要はありません。そして、留守番の失敗を叱るのは逆効果です。ASPCAは、不安からくる行動は不従順やあてつけではなく、叱っても直らない、と説明しています。叱責は不安を強め、留守の前後をいっそうこわいものにします。
留守番の設計は、その子の気質や、お部屋の間取り、ご家族の生活リズムによって変わります。「うちの留守の長さで大丈夫か」「どこを居場所にすればいいか」が不安なときは、専門家といっしょに、お部屋を見ながら組み立てるのも一つの方法です。K9 Harmony では、犬がいちばん落ち着ける自宅で、その子と暮らしに合った留守番の設計を組み立てます。まずは体験から、お気軽にご相談ください。
マンションの留守番と、近隣への配慮
マンションでとくに気がかりなのが、留守番中の鳴き声です。鳴き声は近隣トラブルに直結しやすく、防音だけで抑えこむのはむずかしいものです。土台の設計が、近隣への配慮にもそのまま効いてきます。
防音より、鳴く引き金を減らす
近隣への配慮の土台は、防音そのものより、鳴く引き金を減らすことです。インターホンや宅配の音、外の人通りなど、留守番中に吠えるきっかけを、さきほどの環境づくりで先に減らしておきます。そのうえで、留守に入る前に運動と刺激を満たし、退屈からの吠えを起こさせないようにします。留守番中の吠えの読み解き方と直し方そのものは犬の無駄吠えはなぜ?に、足音やにおい、ゴミ出しや共用部のマナーといった近隣への配慮全般はマンションで犬と暮らすにくわしくまとめています。この記事は、その土台になる留守番の作り方を扱っています。子犬のころからの慣らし方は子犬の社会化も参考になります。もうひとつ、留守番に入る時間帯も、近隣への配慮になります。早朝や夜間は、生活音が静かなぶん、鳴き声が響きやすい時間です。慣らしの練習や長めの留守は、できるだけ日中に組むと、音の影響を抑えやすくなります。ふだんからのご近所との関わりも、いざというときの理解につながります。
設計しても崩れるとき ― 分離不安を疑う
土台を整え、慣らしをていねいに積んでも、留守番がうまくいかないことがあります。留守のたびに激しく鳴き続ける、物をこわす、室内で粗相をする、大量によだれを垂らす、体をなめ壊す。こうしたようすが重なるときは、退屈や物音への反応とは層が違う、分離不安を疑います。
退屈・物音との見分けと、受診の目安
分離不安は、退屈やいたずらとは別物です。ASPCAは、似て見える別の問題(退屈、不完全なトイレ、興奮や服従のときの少量の排尿など)を、まず分けて確かめるよう挙げています。退屈なら運動と刺激で和らぎ、物音なら環境で和らぎますが、分離不安は人と離れること自体への強い不安で、出かける支度を始めただけで取り乱す、留守のあいだずっと苦しがる、といった形で出ます。これは、行動診療科のある動物病院や、応用動物行動学の専門家の領域です。自己流の慣らしを続けて、かえって悪くすることのないよう、早めに相談します。迷ったときは、ひとりで判断せず、動物病院や専門家に一度みてもらうのが安心です。どの層が主かをいっしょに見立ててもらえると、その後の進め方がはっきりします。
治療と、プロの併用
分離不安の改善は、出発の手がかりへの慣らしと、ひとりの時間を不安にならない範囲で積み直すこと(拮抗条件づけと脱感作)が柱になります。ASPCAは、中くらいから重い分離不安では、応用動物行動学者や獣医行動学の専門家の指導のもとで進めることをすすめています。VCA動物病院は、強い不安のある犬では、抗不安薬などの薬物療法を獣医が補助として用いることがある一方で、犬がひとりでいられるようになるために要るのは、薬よりも積み直しの練習だと述べています。薬を使うかどうか、どう使うかは、獣医師が犬の状態をみて判断します。あせらず、専門家とともに、その子のペースで進めます。分離不安は、ほうっておくと、留守のたびのつらさが積み重なり、立て直しに時間がかかりやすくなります。「少し鳴くだけ」と見すごさず、留守のたびに強い不安が出ているようなら、早めに相談するほうが、結局は近道です。早い段階で正しい道筋に乗せられれば、その子の負担も小さくてすみます。気になるようすがあれば、かかりつけの動物病院(獣医師)へ相談してください。
飼い始めの方からよくある質問
犬の留守番について、飼い始めの方からよく出る質問に、ここまでの内容をもとに答えます。
Q. 何時間まで留守番させられますか?
子犬は、生後3か月をすぎると、月齢1か月につきおよそ1時間が、排泄をがまんできる目安です。成犬でも、トイレの機会なしの留守番は6〜8時間ほどまでが目安とされています。これは膀胱の限界の話で、犬によってもちがいます。長い留守になるときは、日中に散歩の代行やシッターを入れて、トイレと運動の機会をつくります。情緒の面でひとりが苦手な子は、時間の目安とは別に、慣らしと土台づくりが要ります。
Q. 留守のあいだ、ずっと鳴いているようです
まず、退屈・物音への反応・分離不安のどれが主かを見分けます。退屈なら留守前の運動と知育、物音ならインターホンや外音を減らす環境づくりが効きます。留守のたびに激しく鳴き続け、物をこわす・粗相が重なるなら、分離不安を疑い、動物病院へ相談します。吠え方の見分けは犬の無駄吠えはなぜ?も参考になります。
Q. ケージに入れておけば安心ですか?
クレートやサークルは、犬が安心できる居場所として使えます。Humane World(旧HSUS)は、クレートを罰に使わないこと、一日中入れっぱなしにすると気持ちがふさいだり不安になったりすることに触れています。安心の居場所であって、長い留守を埋める道具ではありません。入るのを強くいやがる子には、無理に使わず、別の落ち着ける区画を用意します。
Q. 見守りカメラは役に立ちますか?
留守のようすを知るのに役立ちます。鳴いている時間帯や、何に反応しているかが分かると、環境づくりの手がかりになります。ただし、カメラは状態を知る道具で、見ているだけで不安が解けるわけではありません。土台の設計を整えたうえで、その確認に使うのがよい使い方です。
Q. 留守番のときだけ粗相します
がまんできる時間を超えていないか、ひとりへの不安がないかを見ます。前者は、室内トイレを使える設計にして、留守の長さを無理のない範囲にとどめます。後者で、留守のたびに鳴く・こわすが重なるなら、分離不安を疑います。これまでできていたのに急に粗相が始まったときは、体の問題のこともあるため、動物病院へ相談します。トイレの設計はトイプードルのトイレのしつけにまとめています。
Q. 共働きで留守が長いのですが、飼えますか?
一日の組み方しだいです。朝にしっかり運動と排泄をすませ、日中に散歩の代行やシッター、家族の中抜けでトイレと運動の機会をつくり、留守番の場所を安心できる環境に整える。この土台を組めば、共働きでも留守番は作れます。無理のない留守の長さに収まるよう、暮らしに合わせて設計します。ひとりが極端に苦手な子は、慣らしと、必要に応じて専門家の力も借ります。
Q. 子犬の留守番は、いつから慣らせばいいですか?
迎えて落ち着いてきたら、早い時期から、ごく短いひとりの時間を、良い経験として少しずつ重ねていきます。知育のおもちゃを渡して数分その場を離れる、といった小さな積み重ねからで十分です。留守の長さは、月齢に応じた時間の目安を超えないようにします。子犬の時期の慣らしは、人や音への慣らしとも重なります。くわしくは子犬の社会化にまとめています。
Q. 留守番中、食事や水はどうすればいいですか?
水は、留守のあいだもいつでも飲めるように用意します。こぼれにくい器や、サークルに付けるタイプが便利です。食事は、留守の前に知育のおもちゃで一部を与えると、ひとりの時間の楽しみにもなります。夏や冬は、室温にも気を配ります。エアコンで暑さ寒さをやわらげ、犬が自分で涼しい場所や暖かい場所を選べるようにしておくと、長い留守も体への負担が小さくなります。
まとめ ― 留守番は、設計で支える
犬の留守番がうまくいくかどうかの大半は、留守に入る前の設計で決まります。退屈と刺激を先回りで満たし、安心できる居場所を用意し、共働きの一日を無理のない長さに組む。これが土台です。「ひとりに慣らす」練習は、その上に乗せる補助です。そして、土台と慣らしを整えても崩れるときは、層の違う分離不安を疑い、動物病院や専門家に相談します。叱って直す問題ではなく、設計で支える問題だ、というのが留守番の背骨です。共働きでマンション暮らしでも、一日を組めば、留守番は作れます。あせらず、その子のペースで、ひとつずつ整えていけば大丈夫です。板橋でトイプードルと暮らす全体像は板橋区のトイプードルに、散歩の引っぱりは犬が散歩で引っぱるのはなぜにまとめています。迎えて最初の1週間の過ごし方は子犬を迎えた最初の1週間にまとめています。留守番中に与えるおもちゃの選び方や与え方は犬のおもちゃの選び方にまとめています。不安のサインの読み方は犬のカーミングシグナルにまとめています。留守番と記憶・学習の関係の基礎は犬の記憶の仕組みにまとめています。
留守のたびに強く鳴き続ける、物をこわす、急に留守番ができなくなった、といったようすがあれば、様子を見すぎず、動物病院に相談してください。考え方の全体像は犬のしつけ入門に、吠えの読み解き方は犬の無駄吠えはなぜ?に、子犬期の関わりは子犬の社会化に、住まいの近隣配慮はマンションで犬と暮らすに、留守中の拾い食い・誤食への備えは犬の拾い食い・誤食に、留守中の家具やコードへの噛み・かじりは子犬の甘噛みにまとめています。一人で悩むときは、専門家の手を借りることも、立派な選択です。
参考にした情報(動物行動学・獣医団体・動物保護団体)
この記事の説明と設計は、つぎの一次情報をもとにまとめています。本記事は米国獣医行動学会(AVSAB)・獣医団体・公的な動物保護団体などの一次情報をもとにしており、最新の内容は各公式で確かめてください。診断・治療は動物病院(獣医師)の役割です。気になる変化や違和感があれば、かかりつけの動物病院にご相談ください。出典の一覧は、下の「出典一覧」を開くと表示されます。
出典一覧(クリックで開く)
- AVSAB「Position Statement on Humane Dog Training」(2021)(参照:2026-06)
- ASPCA「Separation Anxiety」(参照:2026-06)
- VCA Animal Hospitals「Separation Anxiety in Dogs」(参照:2026-06)
- AKC「How Long Can You Leave a Puppy Alone?」(参照:2026-06)
- Humane World for Animals(旧HSUS)「Crate Training 101」(参照:2026-06)
- AKC「Toy Poodle」(breed)(参照:2026-06)
K9 Harmony は、板橋区を中心に出張型のドッグトレーニングをおこなっています。共働きでマンション暮らしの小型犬の留守番の相談も、お部屋の間取りや暮らしに合わせて、いっしょに設計します。犬がいちばん落ち着ける自宅で進められるのが、出張型の利点です。まずは体験から、お気軽にご相談ください。